「上司から労働組合の執行委員をやってくれないかと打診があったけど、どんな役割かイメージができない」
「労働組合の執行委員をやるメリットって何があるの?」
「労働組合の執行委員ってどれくらい大変なの?」
いきなり会社の上司や組合から執行委員の打診があり、何をするのか分からず不安に思う方もいらっしゃるかと思います。
労働組合の執行委員は、組合員の要望や意見をまとめ、会社と交渉を行っていくとても重要な役割です。
労働組合の活動は、会社で普通に働く中ではなかなか見えづらく、イメージが持ちにくいものです。
ましてや執行委員となればなおさらです。
労働組合で執行委員を4年務めてきた私が、あなたの疑問にやさしく解説していきます。
<筆者 自己紹介>
地方のメーカーに勤めるアラサーサラリーマン。入社後は人事部に配属。入社6年目で労働組合へ出向し、現在まで執行委員(専従)を4年間務めている。
<この記事のポイント>
・労働組合の執行委員がどんな役割なのがか分かる
・執行委員をするメリット・デメリットが分かる
それでは順番に見ていきましょう!
労働組合の執行委員ってどんな役割?メリットはある?
労働組合の組織図
労働組合の執行委員の説明を行う前に、まずは全体像をつかむため一般的な組織図を見てみましょう。
労働組合の組織図ですが、基本的には会社と同じく下記のようなピラミッド構造になっています。
会社の規模にもよりますが、中~小規模の会社であれば、各部門の代表として執行委員がおかれることが多いです。
また、全国に事業所がある大企業であれば、支部というくくりで事業所ごとに執行委員が設置されることが多いです(下図2参照)。
支部の執行委員は担当する範囲は広くなるため、支部の人数規模に応じて複数人設置されることもあります。
執行委員の役割
上記の組織図に記載の通り、執行委員は各事業所・部署の取りまとめ役的な立ち位置であることが多いです。
もちろん会社規模やその労働組合によって異なる部分もありますが、主な役割としては下記が挙げられます。
・各支部(担当部署)から出てきた会社・組合に対しての意見・要望を取りまとめる(橋渡し役)
・取りまとめた内容を執行委員会にて共有、議論し、組合施策に反映させる
・執行委員会で決まった内容を支部(担当部署)に持ち帰って展開する
・組合内の各専門部・局の業務を担当する
(例)総務・広報部、財務会計部、福利厚生部、企画・調査部、教育・文化部など
労働組合の執行委員をする具体的なメリットは?手当はどれくらいもらえる?
さて、ここからは労働組合の執行委員をするメリットについて5点お話していきます。
手当がもらえる
労働組合の執行委員をすると、会社の給料とは別に労働組合から手当をもらうことができます。
金額は会社によって異なりますが、毎月10,000~20,000円ほど支払われるところが多いようです。
また、組合業務のみに従事する専従の執行委員の場合、+αで手当が上乗せされます。
もしあなたが執行委員の打診を受けた場合、手当がどれくらいになるのか質問してみてもよいでしょう。
通常できない経験ができる
執行委員になると、普通に会社に勤めていたらあまりできない経験をすることができます。
具体的には、会社への要求案構築の議論へ参加したり、労使協議会での会社との交渉の場に出席したりなどがあります。
通常業務の中では、全社的な目線で会社と議論をしたり、物事を見る機会はなかなか多くないと思います。
執行委員を経験することで、一歩引いた目線で会社や自分の職場を見ることができるようになります。
人脈が広がる
労働組合の執行委員を経験することで、社内外の人脈を広げることができます。
執行委員は、各支部・各部署の代表として選ばれた方がほとんどです。
執行委員会などを通じて、様々な部署のメンバーと顔を合わせて交流を行う中で、社内外のつながりを広げることができます。
私は専従の執行委員ということもあり、いろんな施策を考える中で、会社で大多数を占める製造部の組合員の声を集めるために、執行委員の皆さんに力を借りることが多くありました。
また後ほどメリット⑤でも記載していますが、執行委員経験者はその後出世していくことも多いため、その後の会社生活でも力を貸してもらえる可能性が高くなるでしょう。
組合員から頼られる
労働組合の執行委員は各支部(部門)の代表として、組合員から多くの意見や要望を聞く立場にあります。
時には耳の痛い不満の声を受け止め、対応しなければならないこともあるでしょう。
そういった声に真摯に耳を傾け、会社と交渉をして職場の要望や不満が解消することができれば、組合員からも頼りになる人だという印象を持たれやすくなります。
頼られるとその分忙しくなってしまうという点はありますが、それは組合員の信頼の証。
その後の会社生活にもプラスになること間違いなしです。
社内評価が上がり、出世しやすくなる
通常、労働組合の執行委員は職場の推薦や立候補によって選ばれ、最終的には組合員の信任選挙をもって決定されます。
決して楽ではない執行委員の仕事に真摯に取り組む姿は、組合だけではなく会社からも評価されます。
経営的な目線で会社を見ることができ、自部署以外にも人脈を持ち、多くの組合員から頼りにされる執行委員であれば、会社にとっても昇格させない理由がありません。
私が所属する労働組合でも、執行委員経験者は評価が高く、会社に戻った後に昇格されている方が多い印象です。
労働組合の執行委員をするデメリットは?
非専従の執行委員の場合、会社業務と合わせて負担が大きくなる
執行委員は大きく分けて2種類に分けられます。
1つは、組合業務にフルタイムで従事する専従の執行委員。
そしてもう1つは、出身部署の会社業務を行いながら、組合業務に取り組む非専従の執行委員です。
会社や組合の規模にもよりますが、通常は非専従の執行委員の方が多い場合がほとんどです。
組合活動は就業時間外に行うことが原則となっているため、会社業務が終わらないと組合の業務を行うことができません。
春闘の時期などは、会社業務に加えて組合業務の負荷もかなり高くなるため、うまくバランスを取れるように計画的に業務を行う必要があります。
休日に組合の業務対応が発生する
執行委員ということで、一般の組合員よりも休日に駆り出される機会は多くあります。
例えば年に1度の定期大会や、新入社員に向けた研修会、上部団体の会議体、地域のボランティア活動など、多岐にわたります。
休日が組合業務でつぶれてしまうというやるせなさはありますが、何事も経験!と思って割り切る必要もあるでしょう。
組合員と会社・執行部の間で板挟みになることがある
執行委員は・各支部(担当部署)の代表ということで、組合員の声を聞いて会社に伝える立場です。
しかし、全ての組合からの意見・要望に対して会社が答えてくれるわけではありません。
むしろ様々な制約から対応できないと言われてしまうことの方が多いでしょう。
その場合は対応できない背景も含めて、組合員が納得するように説明しなければなりません。
なかなか納得してくれない組合員がいる場合、板挟みとなって苦しい状況になることが考えられます。
労働組合の執行委員を辞めたい場合はどうしたらいい?
通常、労働組合の執行委員は組合員からの選挙で選出されます。
任期も決まっているため、特別な事情がない限り任期の途中でやめることは難しいでしょう。
無理やりやめようとすると、会社に戻った時の評価にも響くことが考えられます。
もし辞めたい場合は、組合の期変わりのタイミングで退任できるよう、組合の上部役員(委員長・書記長などの三役)に早めに相談することをおすすめします。
ただ、前述したようなメリットも多くありますので、よっぽど嫌ではない限りは任期まで続けて退任する形を取った方がよいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
労働組合の執行委員は、誰でもなれるわけではありません。
もし打診があった場合は、ここまで説明したメリット・デメリットを踏まえて、前向きに考えてもらうきっかけとなれば嬉しいです。
きっと労働組合の執行委員の経験が将来のプラスになるでしょう。
読んでいただいてありがとうございました!
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