「そもそも労働組合に入らないとどうなるの?」
「毎月の組合費が高いから組合を脱退したい」
「組合に入らなかったときの悪影響って何があるんだろう」
普段から労働組合の活動になじみがない方は、なぜ組合に入らないといけないのだろうと疑問に思う方もいると思います。
労働組合に加入するかどうかは個人の判断になりますが、メリット・デメリットなどの影響を十分に理解した上で選択することが重要です。
労働組合で執行委員を4年務めてきた私が、あなたの疑問にやさしく解説していきます。
<筆者 自己紹介>
地方のメーカーに勤めるアラサーサラリーマン。入社後は人事部に配属。入社6年目で労働組合へ出向し、現在まで執行委員(専従)を4年間務めている。組合内では、総務・会計・労使交渉などの業務を幅広く経験。
<この記事のポイント>
・労働組合に入らないことはメリット・デメリットの両方ある!
・労働組合に入らないことで、出世に影響があるかどうかは、企業の方針次第!
・労働組合に入らないことで、労使交渉の成果を受けられず、組合加入者よりもボーナスが低くなることがある
それでは順番に見ていきましょう!
労働組合に入らないとどうなる? デメリットを深掘り!
まずはじめに、労働組合に入らなかった場合に考えられるデメリットを5つ紹介します。
・給料アップや労働条件改善の恩恵を受けられない
・組合員に与えられる特典を受けられない
・労使間のトラブルで組合の支援が受けられない
・会社との交渉の際に職場の意思決定に参加できない
・部署を超えた交流が少なくなる
それでは、順番に解説していきます。
給料アップや労働条件改善の恩恵を受けられない
労働組合は会社と組合員の給料アップやボーナス金額について、団体交渉を行いますが、非組合員はこれらの交渉の成果を受けられない可能性があります。
また、労働時間の短縮や有給休暇の増加、安全衛生対策の強化などの労働条件の改善についても同様です。
労働組合は組合員の代表として会社と交渉するため、組合に加入していない非組合員がそのメリットを受けることができないのはある意味当然のことと言えます。
組合員に与えられる特典を受けられない
労働組合では、組合員向けの互助会や生活サポートなどの特典があることが多いです。
組合員には割安な保険や融資制度、レクリエーション施設の利用、組合員割引などの恩恵があります。
この特典は組合員から集めた組合費を元に運用されていますが、非組合員は組合費を支払っていないため、これらのメリットを受けることができません。
大手労組の場合、全国規模の施設やサービスを利用できることもあり、組合員としては、会社側の福利厚生と合わせてかなりの特典があるといっても過言ではありません。
労使間のトラブルで組合の支援が受けられない
組合員は、解雇や労働条件をめぐるトラブルの際に組合による支援を受けられますが、非組合員はこうした支援は受けることができません。
組合は団体交渉や裁判を通じて組合員を擁護します。解雇などの不当な事案に備え、組合は法的支援やストライキ権を持っています。
トラブル発生時に、専門家による助言や代理人の派遣など、組合の力を借りられるのは大きな支えとなります。
会社との交渉の際に職場の意思決定に参加できない
労働組合に加入をしていると、経営側との交渉を通じて職場の意思決定に関与できます。
労働組合は組合員の代表として、会社の重要な意思決定に発言権を持っています。
人事制度の改定、労働安全衛生対策、経営計画など、組合員に影響のある事項について、会社側は組合と話し合いを持つ場合が多いです。
交渉の場に立つ組合の執行部は、組合員の意見を取りまとめ、議論し、会社に意見を伝えていきますが、非組合員はこの過程の議論に入ることができません。
部署を超えた交流が少なくなる
労働組合は、部署や役職を問わずいろんな社員が活動しています。
組合活動を通じて、普段はなかなか交流することのない部署の人たちとも親しくなる機会があり、このような交流は会社生活を通じて役立つ場面が少なくありません。
そのような交流の機会を得られないことは、長い目で見るとデメリットといえるかもしれません。
労働組合に入らないとどうなる? メリットを解説!
次に、労働組合に入らなかった場合のメリットを2つ紹介していきます。
・組合費を払わなくてよい
・土日などの休日・時間外に組合活動に参加しなくてよい
それでは、順番に見ていきましょう!
組合費を払わなくてよい
組合費は毎月の給与から控除されることが一般的です。
組合費の金額は組合によって異なりますが、平均5,000円程度の金額を毎月支払うことになります。
組合に入らなければ、この組合費は支払う必要はありません。
組合費は勤労者にとって決して小さな金額ではなく、特に若年層や低賃金労働者にとっては、組合費の負担が重くのしかかる可能性があります。
組合に入らないことで、この経済的な負担から解放されるのは最大のメリットと言えます。
組合費についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
土日などの休日・時間外に組合活動に参加しなくてよい
労働組合の活動は、労働時間外に行われることが多くあります。
定例会議や研修会、イベントなどは、業務時間内には行うことができないため、土日や業務時間後に開催されます。
組合員の場合、こうした活動に参加することが求められるため、自身の自由な時間が制約されてしまうでしょう。
非組合員であれば、このような組合活動に時間を取られることはありません。
休日や勤務時間外は、プライベートな時間を有効に使えるというメリットがあるでしょう。
労働組合に入らないとどうなる? 出世への影響は?
労働組合に加入しないことが出世に直接影響するかどうかは、その企業の方針次第です。
しかし、一般的に組合員は非組合員に比べて、会社への貢献度が高いと評価される傾向にあります。
特に執行委員などの組合役員になれば、会社との交渉を通じて企業運営に関与し、従業員の声を代弁することで経営層に顔と名前を認知され、のちの出世につながることも多いです。
逆に非組合員は、会社への帰属意識が低いと見なされてしまい、そのために出世のチャンスが制限される可能性があります。
ただし、これはあくまで個人の実力による部分も多くあるため、必ずしも全員が出世に悪影響があるわけではありません。
労働組合の執行委員の活動について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
労働組合に入らないとどうなる? ボーナスには影響する?
前半のデメリットの部分でもお伝えしましたが、労働組合は組合員の賃金水準の向上を目指しているため、非組合員は組合員よりもボーナスが低くなる傾向があります。
組合は毎年ボーナス額の増額を交渉し、一定の成果を上げていますが、非組合員はこの恩恵を受けらることができません。
ただし、企業による一時金支給制度や個人の業績評価によっては、非組合員でも高額のボーナスを受け取れる場合があります。
しかし全体平均として見れば、組合員の方がボーナス面で有利だと言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
労働組合に入らないことは、メリットもあればデメリットもあります。
所属している企業の方針次第では、出世に影響する可能性があるため、もし労働組合に入らない(または脱退する)場合は、事前に良く下調べを行うことをおすすめします。
この記事が、皆さんの役に立てば幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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